【vol.1 カルシウム】身長の伸びが気になる…どうすべき?

ママ管理栄養士による「こども栄養学」

「うちの子、牛乳は飲んでくれているけど、それで本当にカルシウム足りているのかな?」

学童期のお子さまをお持ちの保護者の方なら、一度はこんな思いをよぎらせたことがあるのではないでしょうか。給食の牛乳も含めれば、それなりに摂れているような気もする。けれど、背の伸び方を子供の友達と比べて、ふと不安がよぎる夜もある。

GOONA研究室では、毎日のお食事で見落とされがちな栄養素について、ひとつひとつ丁寧にお伝えしていく連載をはじめます。
第1回のテーマは、子どもの成長期に欠かせない栄養素、「カルシウム」です。

【保護者の方からのご相談】

「小学3年生の娘が、ここ1年で身長の伸びが急にゆっくりになった気がしています。給食でも家でも牛乳は飲んでいるし、ヨーグルトも好きでよく食べているのですが、それでも不安で…。『カルシウムを摂らせたい』と思って色々調べているうちに、結局何をどれくらい摂ればいいのか、わからなくなってしまいました。」
(東京都・40代女性/小学3年生の保護者)

似たようなお悩みをお持ちの方は、決して少なくないはず。「乳製品は摂っている」「給食も毎日食べている」──それでも子どもにカルシウムが足りているか、明確に確信を持てる保護者の方は、実はそんなに多くないのではないのではないでしょうか。

【このお悩みは、一児の母でもある管理栄養士の宮﨑先生と一緒に考えます】

自身も子育てに奮闘中のママであり、食のプロフェッショナルでもある宮﨑先生。お母さんたちのリアルな不安に寄り添いながら、今日からできるアドバイスをお届けします。

管理栄養士 宮﨑奈津季先生

宮﨑 奈津季(管理栄養士/一児の母)

大学を卒業後、医療系食品メーカーで2年間営業に従事。その後独立し、記事執筆やレシピ開発、商品企画に携わる。会社立ち上げも経験。
現在はプロジェクトマネージャーとして、食や健康に関するコンテンツ制作や企画、ディレクションを担当している。その他、Webメディア編集や特定保健指導、講師業などをフリーランスとして幅広く活動中。

1. カルシウムとは何か

カルシウムは、ヒトの体の中で最も多く存在するミネラルです。体重の約1〜2%を占め、体重30kgのお子さまであれば、およそ300〜600gのカルシウムが体の中にあることになります。

そのうち約99%は、骨と歯に蓄えられています。残りの約1%が, 血液や筋肉、神経に存在し、心臓を動かしたり、神経の信号を伝えたり、筋肉を収縮させたりという、生命維持に欠かせない働きを担っています。

つまりカルシウムは、骨を作る素材であると同時に、体じゅうの「動き」を支える縁の下の力持ちでもある、という二面性を持った栄養素なのです。

2. 子どもがカルシウム不足になると、どうなるのか

成長期のお子さまにとって、カルシウム不足が及ぼす影響は、想像以上に大きなものです。

骨密度の伸び悩み

人の骨密度(骨の中にどれだけカルシウムが詰まっているかを示す指標)は、20歳前後でピークに達し、そこから少しずつ減っていきます。つまり、「子どものうちにどれだけ骨にカルシウムを蓄えられたか」が、生涯の骨の強さを決める、と言われています。学童期から思春期にかけてのカルシウム不足は、その後の人生で取り戻すことが難しい貯金不足になりかねません。

身長の伸びへの影響

身長は、骨が縦に伸びることで伸びていきます。カルシウムは、その伸びた骨を丈夫にしていく「材料」のひとつです。
もちろん大前提として、身長は、栄養・睡眠・運動・遺伝など複数の要素が絡んで決まるものです。栄養素でもタンパク質などとあわせた全体のバランスが大切ですが、その土台を支えるのに欠かせない栄養素のひとつが、カルシウムなのです。

歯への影響

カルシウムは、もちろん歯の主成分でもあります。乳歯から永久歯への生え変わりが進む学童期、特にしっかりと摂りたい栄養素です。

3. 1日にどれくらい必要?「日本人の食事摂取基準」が定める目安

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、子どもの年齢別に1日のカルシウム推奨量を以下のように定めています。

年齢 男性(mg/日) 女性(mg/日)
1〜2歳 450 400
3〜5歳 600 550
6〜7歳 600 550
8〜9歳 650 750
10〜11歳 700 750
12〜14歳 1,000 800
15〜17歳 800 650
18〜29歳(成人) 800 650
30〜49歳(成人) 750 650

注目していただきたいのは、12〜14歳の男子で1日1,000mgという、大人の推奨量(成人男性で750〜800mg)を上回る数字が示されている点です。同年代の女子も1日800mgで、これは30代以降の成人女性(650mg)を大きく上回ります。第二次成長期に骨が急速に伸びるため、人生の中で最もカルシウムが必要とされる時期と言われています。

「大人より子どもの方が、たくさんカルシウムを必要としている」。この事実は、保護者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。

4. カルシウムはどんな食品に入っているのか

カルシウムを多く含む代表的な食品には、以下のようなものがあります。

  • 乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズ
  • 小魚:しらす、ちりめんじゃこ、ししゃも、いわし
  • 大豆製品:豆腐、納豆、厚揚げ、油揚げ
  • 緑黄色野菜:小松菜、ほうれん草、ブロッコリー
  • 海藻:ひじき、わかめ、昆布
  • その他:ごま、アーモンド、桜エビ

中でも乳製品は、カルシウムの吸収率が約40%と比較的高く、効率よく摂りやすい食品とされています。一方で、小松菜やひじきなど植物性食品のカルシウムは吸収率が10〜20%程度と低く、量を摂っても体に取り込まれにくい性質があります。

5. 「食事だけで足りる?」──現代の子どもの食生活の実情

「ちゃんと食べさせているはずなのに…」
保護者の方からよくいただくお声です。実際に、現代の子どもの食生活には、カルシウムが不足しがちになる要因がいくつもあります。

家庭での牛乳購入量の減少と、体質的な理由

総務省の家計調査によると、家庭での牛乳の購入量は年々減少傾向にあります。実際に「給食がない休日や長期休暇には、子どものカルシウム摂取量がガクッと落ちる」というデータもあり、家庭で毎日牛乳を飲む習慣は当たり前ではなくなっています。

また、近年は食物アレルギーを持つお子さま自体が増加傾向にある中、「乳製品アレルギー」や、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしてしまう「乳糖不耐症」などによって、体質的にそもそも牛乳を飲みづらいというケースも少なくありません。

小魚離れと、大豆製品を「毎日続ける」難しさ

しらすなどの小魚類や、豆腐・納豆といった大豆製品、ひじきなどの海藻類は、日本の食卓を支えてきた「昔ながらのカルシウム源」です。

しかし現代の家庭では、しらすなどの小魚類は消費量自体が減少傾向にあります。また、豆腐や納豆、ひじきといった食品も、大人に比べると子ども世代の摂取量が少なく、お子さまの好みからも毎日の食卓に十分な量を出し続けるのが難しいという側面があります。

カルシウムの吸収を妨げる食生活

リン(加工食品・スナック菓子・インスタント食品に多い)や、塩分の摂りすぎは、カルシウムの吸収を妨げたり、尿として排出される量を増やしたりすることが分かっています。
現代の食生活では、知らず知らずのうちに「カルシウムを摂っているつもりで、体に残らない」状態に陥りやすくなっています。

運動量と日光浴の減少

カルシウムを骨に取り込むためには、ビタミンDと、骨に適度な負荷をかける運動が必要です。室内遊びの増加や、外で体を動かす時間の減少も、間接的にカルシウム不足の原因になっています。(ビタミンDの詳しい働きや摂り方については、▶︎【vol.02】の記事をご覧ください)

つまり、「乳製品を摂っているから安心」とは必ずしも言えないのが、現代の子どもの食生活の難しさなのです。

▼ 宮﨑先生からのメッセージ ▼

カルシウムは、ママ友から「うちの子、給食で牛乳飲んでるし、ヨーグルトも好きだから大丈夫よね?」と相談されることが、本当によくある栄養素です。私自身、ふたりの子を育てる中で同じことを思っていた時期があるので、そのお気持ちはとてもよくわかります。

ただ、実際に計算してみると、給食の牛乳1本(200ml=約220mg)と、家でコップ1杯飲んだとしても、10〜11歳のお子さまの1日推奨量の半分ちょっと。残りの半分を毎日のお食事だけで埋め続けるのは、想像以上に大変なことなんです。

骨は20歳前後で生涯のピークを迎えて、そこから先は少しずつ減っていく一方。「子どものうちにどれだけ骨に貯金できるか」が、その後の人生の骨の強さを決めると言われています。だからこそ、毎日完璧でなくていいので、長い目で見て「平均的に整える」ことを意識してあげてもらえたら、と思います。


▼ さらに深掘り!カルシウムの「よくある質問」 ▼

Q. 牛乳をたくさん飲ませれば、それで足りますか?

A. 牛乳はカルシウムを効率よく摂れる素晴らしい食品ですが、実は飲み過ぎには注意が必要です。肥満や、鉄分の吸収を妨げてしまうことにつながる場合もあります。「コップ1杯(200ml程度)」を目安にしつつ、小魚・大豆製品など他の食品と組み合わせてバランスよく摂るのがおすすめですよ。

Q. カルシウムサプリメントを飲ませても大丈夫ですか?

A. もし医師や管理栄養士から直接ご指導がある場合は、その指示に従っていただくのが第一です。一般的なご家庭であれば、まずは「お食事からの摂取」を基本にしつつ、どうしても不足が気になる時期や、好き嫌いが多い場合には、栄養補助食品をあくまで「補助的」に取り入れていただくのが良い使い方かと思います。

【参考文献・出典】
・厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版・2025年版)』
・厚生労働省『令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要』
・総務省 統計局『家計調査(二人以上の世帯)品目別 長期時系列データ』
・消費者庁『令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書』
・農林水産省『牛乳・乳製品の消費をめぐる情勢』
・農林水産省・厚生労働省『食事バランスガイド』


次回のテーマ

カルシウムと切っても切り離せない関係にある、もうひとつの重要な栄養素「ビタミンD」。せっかく摂ったカルシウムを、しっかり体に取り込むために欠かせない栄養素のお話を、次回お届けします。

▼関連記事

▼GOONAについて

GOONAは、「日本人の食事摂取基準」をもとに、現代の食生活で不足しがちな23種類のビタミン・ミネラルを、毎日のおやつ時間に補える設計のおやつサプリです。商品の詳細はこちらからご覧いただけます。